作品一覧
祖母が遺したのは、
届かなかった一通の手紙だった。
「あの坂の上で待っています。ずっと。」
差出人の名前はない。
写真の裏には「昭和三十八年 夏」とだけ。
祖母は、誰を待っていたのか。
なぜ、その人の名前を誰にも話さなかったのか。
高校一年生の夏、
私は手紙の答えを探しに、長崎へ向かった。
石畳の坂。潮の匂い。夕焼けの海。
六十年前、祖母が見た景色の中に、
答えがあると信じて——
届かなかった言葉が、
時を超えて届く物語。
夏休み、長崎のおばあちゃんの家で見つけた一冊の古い日記。それは80年前、16歳で命を失った少女・千尋が残したものだった――
東京の高校1年生・美月は、友達との楽しい夏休みを諦めて、長崎のおばあちゃんの元を訪れる。古い蔵の整理を手伝っていた時、偶然見つけたのは1945年に書かれた日記帳。そこには、自分と同じ16歳の少女・千尽の等身大の想いが綴られていた。
家族への愛、友達との友情、淡い恋心、そして看護師になりたいという夢――戦争という過酷な現実の中でも、希望を失わずに生きた千尋。彼女の最後の日記は、8月9日午前11時で終わっていた。
千尋の言葉に心を揺さぶられた美月は、彼女の想いを現代に伝えることを決意する。時を超えて繋がった二人の16歳の少女の物語は、読む人の心に深い感動と平和への祈りを残すだろう。
「今日という日が、どうか平和でありますように」 千尋が最後に綴った願いが、80年の時を経て美月の心に届く――
東京から長崎に転校してきた高校1年生の美月。最初は慣れない坂道や路面電車に戸惑っていた彼女が、地元の陽向と花音に出会い、長崎の真の魅力を発見していく青春物語。
グラバー園の夜景、老舗のチャンポン、幻想的な精霊流し、大浦天主堂の祈り、被爆クスノキの記憶、諏訪神社の長崎くんち、稲佐山での約束、平和公園の想い——。
美しい港町で織りなされる友情と初恋、そして成長の軌跡。転校という別れの予感を抱きながらも、かけがえのない日々を大切に過ごす少女の心の変化を、詩的で感情豊かな文章で描く感動作。
長崎の文化と歴史、そして人々の温かさが織りなす、一年間の青春の輝きを描いた中編小説。
「愛は、距離や時間を超越する」——心の故郷となった街への想いを胸に、新しい明日へ歩み出す少女の物語。